NPOのまはらの高橋周介さんにお話しをうかがいました!

こんにちは!たっくんとヒロチャンです。
今回は、私達が所属している、NPOのまはらという団体の代表をされている高橋周介さんに、お話しをうかがいました!

Radiotalkはこちらからお聞きください!

<第1部> https://radiotalk.jp/talk/641373 #Radiotalk

<第2部> https://radiotalk.jp/talk/641374 #Radiotalk

NPOのまはらの方が発信しておられる情報はこちらから!!

のまはら(旧奈良県被災者の会) (narahinan.com)
のまはら – 投稿 | Facebook

〖取材〗

高‐‐‐高橋さん、た‐‐‐たっくん、ヒ‐‐‐ヒロチャン

た:今回はですね。私たっくんとヒロチャンが参加させていただいてる、のまはらという団体のですね、代表をされている高橋さんに、お仕事についてインタビューをしていきたいと思っています。高橋さん、よろしくお願い致します。

高:よろしくお願いします。

た:早速なんですけども、高橋さんのお仕事について簡単にご紹介いただいてもよろしいでしょうか。

高:はい。仕事というか活動かな。

た:はい。

高:活動の内容としては、うちとしては、元々が震災支援。東日本大震災の支援団体でした。そこからの今の現状が、のまはらとして活動しています。

た:震災支援というのは、具体的にどういった事をされていたんですか。


高:現在も震災支援は継続してやっているんですが、東日本大震災はもう10年。その10年の間に、色々と支援もシフトしていくんですね。最初の頃は、東北からもしくは関東から関西の方に避難された方。ひどい人はほんとに生活する物が自分の手元に一切ない、そういう方がおられたわけですよ。そういう方にはそういう資材とか、家具、什器ですね。ほんとに細かなもの、衣服から、調理をするための調理器具とか、寝るためのお布団とか。最初の支援の1年目から2年目位まではそういうものが多かったです。そこから時間が経つにつれて、ある程度生活が出来るような基盤ができたら今度は、生活の先が不安になります。あとは避難元に残してきた色々な事情、そういったものを解決するための相談。相談窓口としてそういった事が震災から何年か後には増えていくという状況ですね。避難者というのは、てんでバラバラで来て、避難先でコミュニティが無いわけですよ。そういったコミュニティを避難者同士でまずは作っていこうという事で、交流会という形で避難者同士の交流会を始める。それは現在までずっと続けてます。避難者の団体が5年目6年目を経て避難支援そのものが全体的に落ち着いてきたら、今度は地域の避難者支援。地域課題に目を向けていって、そうすると自分達の周りは沢山耕作放棄地だったり、空き家だったり、田舎の方に今拠点を置いてるもんでね、そういった地域課題に何かしら解決する方法がうちの団体でないかなっていう事で、今そういった活動に力を入れているっていう事があります。

た:ありがとうございます。どういったきっかけで今まで活動をされているのかっていう事についても、もう少し詳しく教えていただいてもよろしいでしょうか。

高:そうですね、きっかけというと色々あって。まず、震災支援団体としてどうしてそういう事をし始めたかって事になると、実は私も福島県南相馬市から避難してきた一人なんですね。震災支援団体になる前は、そういった避難者同士が集まる互助会だった。互助会で、みんなで何とか寄り集まって生活の基盤をしっかり構築して、ここで生活がちゃんと出来るようにしていこうねっていう会だったんですね。そこから先程言った通り、震災支援団体として少し規模が大きくなりまして。最終的に震災支援団体から5年後位かな、そこから震災支援がある一定の落ち着きをみせたっていう事で、今度は地域支援の方に活動が広がっていったという事になります。

た:今までそういう活動をされてきて、何か大変だった事とか、逆に楽しかった事とか、そういった事はありますか。

高:やっぱり、活動をするにあたって大変な事は沢山あるんだけども。ただ、望んでずっとやってきた事だから、大変ではありますけども、楽しかったのかなっていう風には振り返って思いますね。楽しいからこそ、今までやれてこれてるのかなっていう風に思ってます。楽しさっていうと、ちょっと不謹慎ですけどね、うちら震災支援だったり地域支援なんですけど。楽しさというよりは、やりがいですね。やりがいがあるからこそ、現在までやれたのかなと思っています。

た:人と人との関わりっていうのが、かなり大きなキーワードになってくるんですかね。

高:そこがまさに、キーワードというかね、大事なところかなと思いますけどもね。

た:ヒロチャンからは何かきいてみたい事はありますか。

ヒ:避難される前、互助団体を作ろうと動かれたのは、そこまでにどういう知識があったのか、もしくはゼロスタートなのか、っていうのは知りたいですね。どうでしょうか。

高:互助会を作ったのは、必要に迫られてっていうのがあるのかな。まず、私達を支えてくれた団体があるんだよね。互助会を作る前に奈良の市民の方々が、震災で避難してきた方々を支えようという団体が、奈良市でできたんだよね。それが奈良災害支援ネットっていう団体だったんだけども、そこのボランティアさん達が私達のような避難者を支えてくれたんです。ただ、それは地域の避難者支援組織であって、当事者ではなかったんですよね。だけど、奈良県においても当時で150名近くの避難者さんがいて、その方々のやはり当事者による会が必要だよねっていう声があがって、たまたま震災当事者でありながら支援にも関わってた私が代表として互助会を立てたっていう経緯があります。それが当時、私達の互助会奈良県被災者の会の始まりです。

ヒ:互助会を立てたっていう、市の支援団体でも支援者側にまわっていたっていうのが、互助会を作るきっかけになったという事ですか。

高:市民組織なんだよね。市民団体の奈良災害支援ネット。震災支援組織だよね。そこで支えてもらっていたのが、私達避難者当事者の人達。ただ、市民ボランティアだけじゃなくて、当事者の会もそこで必要だよねっていう話しがそこであがってね。その当時私は避難者であったけども、災害支援ネットに関わって、避難者さんと支援者さんとの懸け橋みたいな支援を一緒にやってたんだよね。たまたまそういった事もあったんで、当時私が支援してもらってた災害支援ネットの中で、のれんをわけるような形で、奈良県被災者の会っていう当事者の会を立ち上げたっていう事です。

ヒ:支援団体として、支援する側に、互助会を作ろうっていう側にまわられたのが、すごく重要な行動かなっていう風に思われたので、こんな風な質問をさせていただきました。避難される前までの経験ていうのは、以前おじゃました時にはある程度の料理のスキルがあるからっていうのは、お話しされてましたけども。何かこれまでやってきた事がつながってる部分はあるんですかね。

高:これまでやってきた事って事は、福島県でしてきた事っていう事ですかね。

ヒ:そうですね。福島県ですね。

高:福島県では宿泊業をずっとしてきたんですけどね。そこで役立ったっていう事になると、組織運営の仕方っていうのは役に立ったのかなあと思ってて。組織の責任者として、組織の運営をしていければいいかっていうのは、未経験ながらもそれなりにボランティア団体として、支援団体として、それなりにやれてきたかなあ現在までっていう風には思っています。

(Radiotalkでは第1部と第2部の切れ目ですが、割愛します。)

ヒ:団体をまわしていくにあたって、特に言ってしまうと金銭面で、特にNPOをやってみたいという風に自分自身も思っているところがあるので、可能な範囲でまわし方っていうのをお伺いできたらと思っています。

高:たぶんね、日本中もしかしたら世界中のNPO団体が一番そこに悩んでると思う。いかに運営資金というのを、ちゃんと自分のやりたいだけの資金を得るかっていうのは、もう命題に近いかなNPOの世界では。中々そこが叶わないっていう状況があって。ずっとそこを悩みながらNPO組織を運営してるっていうのがたぶん、今の現状なのかな。そこから、自分に照らし合わせて、現状どういう風にして活動しているかっていう事をお話しさせてもらうと。まず団体が立ち上がって初期の頃っていうのは。以前私は福島の時は旅館業をしていた。そこで料理人もしてたんですね。カッコいい言い方するとオーナーシェフなんていう言葉なんだけど。カッコわるい言い方をすると、料理人を雇うだけのお金がなかったという話しなんですけど。そういった経験もあったものだから、とりあえず各イベント、各地域地域のイベントで、東北なんでね、東北の有名だときたかたラーメンていうラーメンがあって。そういったラーメンを各イベントで提供する。そこで資金を得ようかっていう事を最初はやってました。でも、それでも微々たるものなんだよね。あとはNPOとか非営利組織では、大きな資金を得る方法として、補助金、助成金を得るっていうやり方がある。そういった事で、そこから運営資金を得るという事もやりました。ただ、結構中々経験の必要なんだよ、助成金の申請とか何かってね。最初はものすごく大変だったです。団体も1年目2年目の時は、歴史がないからね、実績もないんで、助成金も中々得にくいって時もあった。そういった中で、細々と最初はやっていて、現在はもう10年目になる。そうなると経験もできてきましたし、助成金の申請の仕方もある程度分かってきたかっていう事で、現在はうちの方では大体半分位が助成金に頼ってる。NPO組織として。もう半分は自己資金。自己運営のところで賄っているっていう状況があります。うちは今農園として動いてるんで、農園で得た耕作物から販売する事によって、それを資金運営にしているっていうところかな。NPOとしては、自己資金を得るという事は実は中々大変で、ほとんどの場合は私の知る限りは補助金に頼って運営してる。もしくは、そこの理事長さんとか、役員さんの自前、自腹によって運営されているっていうのが現実じゃないかなって思ってます。

ヒ:実際私達も活動に参加している中で、野菜、特に黒豆を売るっていう話しを今日もされていて、それが助成金5割残り5割の内のほんの一部になるんですよね。

高:そうですね。

ヒ:という実情を知る事が出来て、個人的にはすごくありがたかった。ありがとうございます。たっくんからは。

た:私が高橋さんの話をずっと聞いてて思ったのは、これまでずっと福島で宿泊業をされていて、料理もされていたと。震災がきっかけで、今のお仕事をされているわけなんですけども。これまでの宿泊とか料理に関する技術を使って、どこか宿泊のところとか料理界に勤めたりとか、そういった事は選択肢として震災当時はなかったというか、どうして今のお仕事を選ばれたのかっていうのが、とても気になります。

高:勤めるという選択肢は充分にあったと思います。ただ、当時を振り返ると、結果的に今そういう風になったとしか言いようがなくて。あの時、さっき言った通り災害支援ネットというボランティア団体から、当事者の団体を立ち上げてくれ、立ち上げたら、立ち上げた方が良いよねという事になって、自分が代表で活動する事が始まり。そこから、その団体運営というのをする。そこでどういう風にやっていこうかっていうと、ずっと悩みながらやってきたんだけどね。もう一回そうやってまわしてしまうと、勤める暇がなかったね。いかに要はそのところと、今振り返ると自分自身のプライベートな生活と、避難者支援どういう風に両立していったらいいかなとずっと悩み続けてきたんだよね。それが今ある意味形になったのかなと思うのが、こののまはらで、私自身の生活と、そして避難者支援と地域支援。これらを分ける事は出来ないから、全部一括りに一まとめで運営してみようかというのが、この今ののまはらかな。

た:ありがとうございます。そのNPOのまはらについてもお話しを伺いたいんですけども。のまはら自体の活動に関して、簡単にご紹介いただいてもよろしいですか。

高:はい。のまはらは奈良県被災者の会から引き継いでる震災支援、東日本大震災の震災支援を継続して行っているという事と、私達は当事者であってそして災害の苦労大変さを身に染みているんで、同じその災害があった時に支援出来るような体制を整えていこうっていうのが一つの目標で、年に数回の訓練とか、そういった事をしているという事。あともう一つは、地域支援として、田舎の方に拠点があるものですから、耕作放棄地だったり空き家だったり、そうしたものを利活用して、新たなビジネスモデルみたいなものを一つ構築出来たらいいな。田舎の中でもどんどん過疎化されている中でも、若い人達がそこで生活が出来るようなモデルが構築出来ればいいなと思って活動しています。

た:ありがとうございます。私やヒロチャンも参加させていただく中で、農業っていうのが結構やらせていただいているんですけども、そこについてもお話しいただけますか。

高:はい。農業について。どの辺の農業なのかな。

た:普段どういった活動をされているのかとか。

高:普段どういった。農業についてかな。

た:そうですね。のまはらでされてる農業が、どういう事なのか。

ヒ:販売とかまで。もう広くなのか。

高:農業も幅が広いもんだからね。

た:そうですね。色々な作物を育てられてますよね。

高:そうですね。現状、20種類以上を育てているんで。NPOではあるけども、実質農家として動いてるところはありますよね。だからもう、シーズン中は、基本的に農家と同じ事をしてるかな。

た:結構幅広い年代の方が来られていますよね。のまはらにね。

高:そうですね。それこそ、君達のような若い世代から、70代位の方まで来られてます。

た:すごいネットワークが構築されてるなって思いますね。では、最後にですね、中高生をはじめとした若者へ、何かメッセージをいただいてもよろしいでしょうか。

高:荷が重いな。荷が重いけど、そうですね。好きな事を私はずっとしてきて、やりたい事をやってきて、現在私はまだちゃんと生活が出来てるのかな。自分自身がやりたい事を反対されても、ほんとにやりたいんだったらやり通せばいいんじゃないかって思いますけどね。私はそういう風にしてきました。

た:分かりました。この活動は主に、奈良県の都祁っていうところでやられているんですね。

高:そうですね。支援そのものは関西全域ですけどね。活動そのものは奈良市内でやってます。

た:分かりました。みなさんもよかったら、ホームページ等見ていただければなと思います。では、本日の取材はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

高‐ヒ:ありがとうございました。

〖たっくんの感想〗
私とヒロチャンは、学内のWEBサイトに掲載されていた募集を見てのまはらを知り、応募した事で高橋さんに会いました。
私は月に1-2回程都祁に行って、主に農業に関する事(オクラの収穫や草刈り機の使用、耕作物の袋詰め、ネット張り等)をさせてもらっています。また、マルシェ出店や川や田んぼの生き物調査も行いました。自分の学校では体験出来ないような事ばかりで、とても楽しく学んでいます。
高橋さんには、これまでも何度か経歴をお聞きしてきましたが、改めて聞くと苦難を乗り越えて来られた方なんだなあと感じました。
東日本大震災の被災者の方が関西に避難されてきたという事は、なんとなくイメージ出来るのですが、当事者が被災者を支援するというのは、少し驚きです。ただ、それも始めからではなく、奈良県の市民の方による支援団体があって、そこから分かれたという経緯を、今回の取材で理解する事が出来ました。人は今ある状態だけを見て判断しがちです。私にとって、のまはらは農業のイメージがとても強いですが、被災者支援についても関心を持ったため、そちらの活動もしてみたいと思いました。
また、被災者支援というと、どうしても“可哀想”“気の毒”といったマイナスな言葉が浮かびがちですが、高橋さんの言葉からは、大変な事も多かったけれど前を向いて進んでいこうという思いを感じました。
ありがとうございました!!

〖ヒロチャンの感想〗
ヒロチャンです。
久しぶりの来訪にも暖かく出迎えていただき、中々おぼつかないながらも取材を受けてくださった高橋さんには、まずただただ感謝です。
お話を聞いていて、NPOの場合、経営者がどういう立ち回りをしているのか、という点に近づけたのはいい経験でしたし、のまはらの活動自体も一歩深く知ることになったので、満足のいくインタビューでした。
高橋さん、ありがとうございました。

建設現場の施工管理をしている、たっくんのいとこに取材しました!

こんにちは!たっくんです。
今回は、建設現場の施工管理をしている私のいとこに、メールで取材をしました!

〖取材〗
問1:仕事内容を教えてください。
答1:建設現場で施工管理を行っています。具体的には、工事が安全に進み、工期内に完成出来るよう、日々工程管理や協力会社の方と話し合い・調整、また品質・出来形管理、等を行います。

問2:仕事のやりがいを教えてください。
答2:自分の携わった構造物が地図に残り、実際に人の生活を便利にしたり、社会に影響を与える事です。社会に関わり、少しでも良い方に変える事に貢献出来たと実感出来る点にやりがいを感じます。また、大学で学んだ内容を仕事に活かせていると感じるところも魅力です。

問3:仕事の大変さを教えてください。
答3:屋外での仕事であるため、夏は暑く冬は寒い、という環境で働くことや、現場巡視など体を動かす場面がどうしても多い為、体力的にハードである事です。

問4:若者へのメッセージをお願いします。
答4:今は幅広く様々な事に興味を持って、とりあえず挑戦してみる。合わなければそれでやめて、楽しかったら突き詰めていけば良いと思います。好きなことを仕事に出来れば、楽しく、やりがいを感じながら仕事が出来ると思っています。

〖たっくんの感想〗
率直に、いとこの職業についてこれまで全然知らなかったし、知ろうともしてこなかったなと感じました。
建設現場の施工管理は、人の命に係わる大切な仕事だと思います。
実際にモノが出来上がって、それが人々の生活を豊かにするのを実感出来る事は羨ましいです。
また、 「大学で学んだ内容を仕事に活かせていると感じるところも魅力です 」という言葉は印象的でした。
体力的に大変であるという話しからは、こういった方が働いておられるおかげで、社会が成り立っているのだなと感謝の念を持ちました。
多くの事に対して及び腰になる私にとって、「とりあえず挑戦してみる」は元気をもらえる言葉です。
ありがとうございました!!

大学の先生にお話しを伺いました!

こんにちは!

今回は、大学の先生にZoomを使ってお話しを伺いました!

〖取材〗

大学の先生‐‐‐大

職業部員 ‐‐‐ 職

職:まず最初に、お仕事内容についてお話しいただいてもよろしいでしょうか。

大:大学教員としての仕事は主に3つあります。1つは研究です。2つ目に教育です。3つ目に学内業務です。研究から説明しますと、研究活動は主に自身またはグループで行った調査研究を学会で報告して、論文を書く事です。研究成果で社会に貢献するというのが一つの使命だと思います。私の場合、組織の人に話を聞きに行くインタビュー調査や働く人々の考えや傾向を読み取るためにアンケート調査といった手法がとられます。こういった調査は、相手の許可が得られないとできないので、関係づくりのために動くことも研究を行う上では重要です。

 2つ目に教育です。教育は概ねどこの大学さんもそうだと思いますが、学部であれば担当科目とゼミが中心になります。担当科目は大学の方針に従って決まります。そしてそれに沿った教員が採用され担当します。それからゼミですね。ゼミの場合は担当教員の専門性を活かして教員から見て研究に必要な知見を学生と対話しながら、教授していく場です。なので、教員によってゼミでやっている内容は十人十色だと思います。

3つ目に学内業務です。学内業務としては教員の皆さんはなんらかの委員会に所属しています。私は入試に関係する委員会に在籍していますが、受験生の出願から合格までの裏方をしています。機密の部分もありますが、もうすこし言えば、入試問題のチェック、入試のスケジューリング、合格判定に必要な資料の作成などです。大学組織の一員として所属している以上、研究や教育だけでは組織はうまく動きません。自身の研究や教育環境を整えるためにも皆さん活動しています。教員の皆さんは事務的な活動に対してそういう訓練を受けているわけでもなく、得手不得手もありますので喜んでやっている人は少ないかもしれませんが(笑)。

これら3本柱が主な仕事です。その他、所属している大学の特色でいえば地域の大学という点があります。その点について話しをすると、もう一つあるのは地域貢献ですかね。地域に貢献できる人材を育成する、地域の人々や会社と連携する、行政と連携する、などいろいろな形で地域活性化に取り組むというものです。例えば、学生と地域の企業と協働で活動して成果を上げれば教育+地域貢献の一つの形であると言えます。なぜ、こういうことをするのか。大学の存在意義が問われていると思います。大学を継続していくという意味では社会に必要とされる存在にならないと生き残れないという問題意識が一つの考えでしょうね。

職:大学内の事務についてお尋ねします。大学によって、教員がどこまで関わるかっていう事は変わるんですか。

大:いろいろな大学の組織運営を見てきたわけではないので、聞いた話程度ですが、大規模大学さんと小規模大学では、ちょっと違うかもしれないですね。小規模の大学ではわりと教員が主要イベント全てに関わっている印象があります。大規模だと教員と職員ともに人数が多いのでより組織が分権化して専門の業務が多いかもしれません。 

職:研究についてお伺いします。学会っていうのが、私も含めて、この記事を読んでいる人が結構分かりにくい、馴染みがないと思います。例えば一人の方が複数の学会に所属しておられたりもするんですか?

大:複数の学会に所属されていると思います。学会って何かっていうと研究サークルです。私が所属している社会科学系の学会は年に何回か自分達の研究報告をする場を作って、皆さんでその報告内容について議論します。大体の学会は全国大会、地方の部会、テーマを作っての部会開催など様々な形で行っていると思います。テーマ別であれば、例えば、若手セッション、若手が中心に報告して、先輩方に研究内容をもんでもらおうということをやります。基本的には報告の場として機能しています。学会では論文も発行していますので、そこに投稿し、掲載されれば業績になります。なので、自分の興味関心に近ければ複数の学会に所属します。

職:学会っていうのは、どうやって入るんですか。先生が元々教えてもらっていた指導教官の伝手とかそういう感じですか。

大:伝手といえばそうなんですが、基本は入会届のような書類があって必要事項を記載して2名か3名位から推薦人として記名してもらって提出し、学会内の審議で認められれば入会できます。学会自体は会費で運営されていて、学会員は皆会費を支払っています。基本的には皆さん自分の研究に近いところの学会に所属していると思います。

職:学会は会費で成り立っているんですか。

大:そうです。寄付とかもありますが、ほぼほぼ会費だと思います。

職:会費を払ってでもやっぱりそうやって参加したいっていう研究者が沢山いるって事なんですね。

大:そうしないと自分の研究を発表する場がなくなります。大学教員であれば最低でも1つは入っていると思います。また、最新の知識のアップデートもできますし、他の人がどのように自分の研究をみているのかわかります。学会で出てくるのは、最新の研究ですので、新しい知識とか知見が得られるわけです。研究者の皆さんはそもそも研究活動が好きだからこういった仕事をしているわけで、報告を聞いたり、議論する場に参加するのは当然ともいえます。

職:分かりました。ありがとうございます。教育についてもお話しを伺いたいです。地域貢献というお話しがありましたが、ゼミでは具体的にどのような活動をされていますか。

大:最近ゼミでやっているのは、ここ2~3年は企業の人と共同プロジェクト的な事をしています。企業からもらった課題や協力してほしい事に対して、学生が自分のゼミや授業で習った知識を活用して課題解決していくっていうスタイルでやっています。主にアンケートの手法を教える意味で、組織の方に協力していただいて、実際にアンケートを取って分析しました。学生と組織の人を交えながら話し合いして仮説を設定して、質問票を作って、プレテストをして、結果をチェックして、実際に本調査を行って、集計して、分析して、考察して、報告して、企業の人からコメントをもらって…という流れですかね。しんどいこともありますが、一連の調査プロセスはチームで協力したり、分担したり、チェックし合ったりして完成させていくので、調査の実体験、知識の獲得、チームの管理という面では教育効果があるのかなと思っています。

一方、このような活動に協力してもらう企業の人にとって何の意味があるのか。私見ですが、こういった団体や組織の中には日々の業務に追われて、やらなければいけないことがなかなかできないということがあります。例えば、広報活動や、お客さんの分析とか、従業員のやる気の向上とか、顕在化していない組織内の課題の洗い出し、とかです。そういったところを学生と協力して分析してみて新しい視点の提供とか、意外な結果とか出ると、結構企業の方も喜んでくれます。そういった意味では、組織の助けとか貢献になっているところはありますし、実際にそういったコメントはもらったことがあります。ただ、学生をメインに、専門外の課題も出てくるので、どうしても拙いとか、中々上手くいかないとかがあります。そこら辺は理解の上協力してもらっているというところです。

職:企業の方とそうやって協力するっていう時に、素朴にどうして企業の方は協力しようと思ったんだろうなっていうのが、すごく疑問に思っていました。そうやって、受け入れ側にもメリットがあるって事なんですね。

大:そこを意識しないと協力関係が構築できないかなと考えています。つまり、やらせてくれってお願いしても、組織に対する何らかのメリットは必要だと思います。もちろん社会貢献的な意味で協力してくれる組織もあります。ギブアンドテイク的な関係までは言い過ぎかもしれませんが、協力してくださる以上研究の成果を報告したり、提供したりして何らかの貢献は必要だと思います。その組織に金銭的負担がないとしても、携わった人は自分の時間や、組織内の調整等、影響は受けています。これは研究でも同様です。

職:分かりました。ありがとうございます。続いて、お仕事の大変さについて、苦労される事とか、つらいなと思われる事等、何かありましたらお話しいただけますか。

大:仕事の大変さについてお答えしますと、研究というのは自分で選んだ道ですので、そこは気ままに見えてプレッシャーですね。学会報告、論文投稿、講演会など、締め切りが差し迫る中ネタを考えたり、アイディア作ったり、文章作るっていうのは、しんどい部分は確かにあります。報告すれば他の人から批判も晒されます。ただそこを乗り越えて認められた時が一番の達成感だと思います。

職:自分の選んだ研究っていう道だからということでしょうか。

大:研究者は自分の発想を持って自由に研究していいよっていう立場です。自分がやる研究に対して、あまり言い訳は出来ない。例えば、業務としてやるとか、上司に押し付けられたから、会社としてやらなければいけないから興味ないけどとりあえずやったとか、このような組織のためにではなく、自分のためにやります。結局自分がなんでこれをしたいのか、そういうところを突き詰めてやっておかないといけません。自分なりの問題意識なりなんなりを持っておかないと、研究途中でぶれてしまいます。私もよくぶれたり悩みますが、そこは常に引き締めておかないといけないですね。

職:研究の目的とかを、毎回考えたりするのとかも結構大変なんですか。

大:常にネタを収集して拾っておかないといけませんね。ニュースにしても、これってじゃあ自分の研究でいうとどのように関係するのかとか、自分の知っていることとなんか矛盾するなあとか、そういう気付きを得るようにしておくことが必要だと思います。たぶんほとんどの人はいくつか研究のネタっぽいもの、種はあります。それをどう育てようかというところは難しいですが、形にしようという意思があればどうにか形になります。形になってもこうやっておけばよかったっていう心残りみたいなものは常につきまといますが。

職:分かりました。ありがとうございます。教育とか大学の事務的な事でも、何かそういった大変な事がありましたら。

大:教育面で苦労については学生に自分の思いが伝わらず、主体的に動いてもらえないというのが一番大きいでしょうね。ただ、それは自分が悪いのかもしれません。伝え方が悪いのか、準備が悪いのか、配慮が行き届いてないのか、タイミングが悪いのか、いろいろ要因はあると思います。自分でコントロールできる部分は反省するところかなと思います。結局最後に動くのは学生自身の情熱がないといけないとは思いますが、つまるところ情熱をどうやれば引き出せるのか、ということを考えています。学生の研究に関しては私と違う分野でもいいです。分野が違う人から見ても面白く見えるというのは魅力的な研究テーマでしょう。

特にゼミは主体的な学びに向き合う必要が在りますが、例えば4年生でもテーマにずっと悩んでいるわけです。どうしたいのって尋ねても、本人にも答えが無い場合があります。人によっては、どういう卒論なら単位取れますかっていう質問してくる方もいます。独自性があって、結論の導き方が妥当で…一言でいえば面白い卒論ですと答えますが。もちろん、評価基準は示していますが、その基準は出席日数とかそういうものではないです。結局ゼミでやっている事は、学生本人のやりたい事のサポートです。もちろん、私がやれる範囲に限界はあります。それでも研究を楽しんでほしいです。研究への向き合い方が物事への向き合い方に繋がっているとおもいますから、その経験は無駄になりません。私は、ゼミ生は知識が足りなくとも、研究のパートナーみたいなものだとおもっています。そういう態度で接していますが、本人達は全然そういう気じゃないでしょうね(笑)。

学生本人がやりたくても悩んでいる時は良い傾向だと思います。自分で悩んで考えて動いているからです。それに対していろいろ私もリアクションできます。結果として徐々に自分で動いて、そこから何か学びに結びついていくと研究が進んで一安心ですね。

職:分かりました。お話しを聞いていると、かなり先生にとってゼミっていうのが大きな存在なのかなって感じました。

大:ゼミは裁量が大きいですし、授業よりかかわる時間が多いっていうのもありますけどね。ゼミは1年からあってそれは所属している大学の特徴だと思います。もちろん、授業でも企業さんの協力を受けられる機会があり、学生にもやれそうであればゼミでやるような調査もします。企業さんにメールで5、6回以上やり取りして、確認して、アンケート取って、データ分析して報告してっていうのを、年末年始やっていた事もありました。

職:ありがとうございます。続いて、楽しさとかやりがいについてお伺いできますか。

大:1つは先ほども触れましたが、人から認めてもらう事でしょうね。学会はサークル的な雰囲気もあるので、人の反応がわりとダイレクトにわかります。そういった中で色々評価とかお褒めの言葉をいただくと嬉しいものです。批判をされたときはへこむこともありますが、もっともな内容であれば新たな視点を得られたと思って儲けものと考えながら、次に続けようという気持ちでやっています。そこら辺が一つのやりがいかなというところですね。

この仕事って決められた時間働くというよりも、結局、自分で鼓舞して自分で成果あげるのがやらなきゃいけない事です。そうなると、成果っていうのは、世の中に発表したものであって、他人から共感を得たり、使ってもらったりという事が大きいですね。やる気の中にお金はありますが、正直言うと大手の会社に勤めた方が給料はいいと思います。私の高校の同級生のボーナスの話とか聞きますが、地域差はあるにしてもだいぶ違う印象です。なので、結局この仕事の良いところは、ある程度自分の裁量で動ける範囲が大きく、その分自分の評価がダイレクトに残る。つまり、仕事の成果として大きいのは自分の名前が残る事ですね。自身の名前で検索すれば論文とかも出てきますし、論文や書籍として名前が残るっていう仕事は、あまりないと思います。

教育は自分のゼミのOBが活躍したり、感謝されたら嬉しいですね。あとは在学中の学生からコメントをもらったり、授業でわりとややこしい事言ったかもしれないなっていう時に、学生が深く考え疑問を指摘し、興味を持ったって聞くと、やりがいも出てきます。

職:分かりました。ありがとうございます。では、最後に、中高生をはじめとした若い人達への何かメッセージをいただけますか。

大:このインタビューの目的っていうのは、仕事を知ってもらうっていうテーマでしたので、大学教員にもし興味を持った方に向けて答えます。ビジネス系の分野の範囲で述べますが、もしこの分野で大学教員を目指すのであれば若手も少なくなっていますし、興味があり勉強したい方は研究者という生き方もありかと思います。その分20代は自分の勉強をひたすらやる感じになりますし、焦ることもあります。英語で授業しなさいとか、国際学会で論文何本出したとか、働ける場所を選べないとかいろいろ条件が課される可能性はあるので、大変な面もあります。この分野、社会人を経験してから来る人が割と多いです。実務家教員と言いますが、3年、5年と民間企業で働いてキャリアアップ目的で修士課程に進学して、そこから興味持って博士課程に進学したという方もいます。働き出してからもチャレンジ出来る機会はあります。

〖職業部員の感想〗

 今回は大学教員の方にお話しを伺い、大きく分けて研究-教育-学内業務の3つの仕事をされているという事が分かりました。

 教育と学内業務はなんとなく分かるけれど、研究は馴染みがなく何をしているのか知らない、という方が多いのではないでしょうか。私もその一人であり、初めて聞く事が多かったです。例えば、推薦がいるという事も知りませんでした。そもそも、これまで学会について考える機会もありませんでした。会費を払ってでも発表したり知識を入れたりする場がほしいという事は、よっぽどその分野に関心があるのだろうなと思います。また、複数の学会に入っているという話しも印象的でした。自分の興味に沿って団体に入るという意味で、「サークル」という言葉は言い得て妙だと感じました。また、自分が選んだからこそ言い訳がきかない、他の人から批判にも晒されるというつらさも、なるほどなと、思います。自由に表現活動が出来るという事は、その分負う責任も大きいという事でしょう。歳をとってから、他で経験を積んでから研究者になるという人もいるという話しもありました。若い時に選ばなくても何かのきっかけで研究者になる事もあるのだと考えると、意外と身近な職業かもしれませんね。

 教育は、まさに人相手だなという印象を受けました。授業とゼミという二つの担当を挙げられました。ゼミでは企業調査をされており、ギブアンドテイクの関係を意識しているという話しは、職業部で取材をしている私にとっては、興味深い事です。どうすれば自分だけでなく、協力してくれる相手にも得をもたらす事が出来るのか、中々難しい問題だと思います。調べた結果を報告する事で、学生の成長にも企業の情報にもなるという仕組みは、上手いなあと感じました。また、どうすれば自分の言いたい事が伝えられるのか、何をしたいか分からない学生のエンジンをかけられるのはどの瞬間なのか、一緒に悩む事はまさに親心から来るのだと思います。親身になって考えてくれる先生を、学生は信用するのではないでしょうか。

 大学の事務は、喜んでやっている人はあまりいないかもしれないという、本音を語っていただきました。組織に属している以上、義務としてやっている。小さな大学であれば、職員がする事を教員がやっていたりもするのでしょう。ただ、そうやって学校の業務に関わる事で、様々な事を知ったり、学内の他の人と交流する機会にもなっているのではないかと思いました。また、大学によって色が異なるというのも面白い話しでした。

 ありがとうございました!!