奈良市観光協会の観光案内所職員さんにインタビューした様子をお届けします。
場所:奈良市総合案内所(JR奈良駅旧駅舎内)
日時:令和3年9月21日12時00分~12時25分
広瀬:現在、こちらの観光案内所お仕事をされていますがこのお仕事をしようと思ったきっかけはなんですか?
職員さん:はい、私たちは公益社団法人奈良市観光協会の職員として仕事をしています。 私、地元が奈良でして…地元で努めたいと思いまして、観光協会の方に入りました。動機といいますか、きっかけはそのくらいでして…特に強い熱意があった訳でもないです。 現在の観光案内所での業務は今年の4月からでして…(笑)
広瀬:そうなのですね!
職員さん:ええ。観光協会の業務は総務や観光情報の発信を行う広報等がありますが、 観光案内所への配属も異動によるものですので希望ができるわけではありません。私は 入社当初から総務で、1番長く勤めていました。 観光案内所についてですが、こちらJR奈良駅の旧駅舎内にある総合案内所の他にあと2か所。近鉄奈良駅とやすらぎの道にあります。全て奈良市から観光協会が受託致しまして観光案内を行っております。JR奈良駅の総合案内所は平成21年にできまして、平成27年にリニューアルをいたしました。その際に外国人観光客向けに手荷物預かり所やムスリムの方の祈禱所、癒しのゾーンとしてカフェ(スターバックスコーヒー)を設置しました。日本政府観光局が認定を行っている、外国人観光案内所の認定基準に沿ったリニューアルも兼ねておりまして、日米中韓の4か国語対応を行い、カテゴリー3を頂きました。 3つの観光案内所でもそれぞれコンセプトが異なりまして、JR奈良駅の総合案内所はインバウンドの方向け、外国人の方は主にJRを使って移動されるのでインバウンドに対応できるように、近鉄奈良駅の方はスペースも限られていて、駅の中でもありますのでよりスムーズにご案内ができるように。対応言語は日本語と英語のみとシンプルになっております。やすらぎの道にある案内所につきましては、現在無人での営業、タッチパネルの設置にとどまっております。
広瀬:ありがとうございます。次に、観光案内所でお仕事される中でのやりがいであるとか、楽しいと感じたことを教えていただけますか?
職員さん:お客様が「来てよかった」「また来たい」とおっしゃることです。こちらの観光案内所では電話対応も行っているのですが、電話で連絡くださって、「電話で(観光案内所の職員さんが)話した事が役立ったから来てみた」とか、アドバイスして、役立ったからと帰り際にわざわざお礼に来る方もいらっしゃって、その時はやりがいを感じますね。
広瀬:観光案内所でお仕事されていて、大変だと感じた事は何ですか?
職員さん:聞かれる事がもう多様で。様々な年齢、国籍、地域の方がいらっしゃいますから聞かれる事を予めリスト化する事は不可能です。お客様のニーズが多様化しておりまして、また最近ではインターネットで事前に調べてくる方も多いので、ネットの情報を調べてそれに載っていない事を探されたり、ネット情報について「これって本当ですか?」と確認にいらっしゃったりする方もおられます。奈良は年配の方も来られます。そういった方は多くはインターネットの情報を逆にご存知なかったりします。ただ初めて奈良に来られる方でも、よく調べて来られたり、リピーターの方はもっとコアな、マニアックな部分を攻めたいということで来られたりします。 国や年齢、好みが全て異なるので画一的なご案内はできず、その点は苦労しています。
広瀬:わかりました。奈良市観光協会や、観光案内所での業務内容を教えてください。
職員さん:観光協会では私は総務にいました。普通総務と聞くと書類関係のことをするのかなと思われますが、入った時はまだ小さい組織だったので、人数も少なく書類関係以外に例えば協会主催のイベントや伝統行事を支える活動もしていました。地域振興のためにイベントを行い、観光客誘致を図るものです。
広瀬:観光協会ではそうした活動もしているのですね。
職員さん:昔は事務所と案内所が隣で観光協会の事務所が案内カウンターを持つ状態でしたので、総務職員でも案内業務の応援に入る事もありました。観光資源の保存や発掘といった活動も行っています。
広瀬:ご出身、主に観光の観点から奈良を見られてきたと思いますが、奈良のいい点は何だと思いますか?
職員さん:たくさんありますが…いい意味で「変わらないこと」ですね。奈良は他の都市とは違って変化が少ないように思いますが、変わらない、変化しない事って保ち続けるための裏側での努力があると思うんです。変わらないからこそ癒される。奈良は関東から来られる方も多いですけど、都会で疲れた身体を奈良に来て癒すという方もいらっしゃいます。変わらない建物、風景、料理が奈良にはあります。もちろんシステム化もありますが、外見は変わらない。これを求めに来る方も多いですね。
広瀬:観光案内所でお仕事される中で必要な、またあればよかった知識はありますか?
職員さん:少し矛盾しますが、変わらないことが奈良は多いですがそれでも変わっています。そのため、日々吸収していく必要があります。行事や街中の変化は特に激しいです。常に情報収集が必要です。一番の吸収方法は自分で歩いてみることです。ただ、業務が終わってから歩くとなると時間もありませんし、奈良は切りがありませんからまわってきたスタッフに聞くなど自分から収集していく必要があります。特にネット以上の情報を集めるには歩くしかありませんから。求められるニーズがコアな情報を知りたいお客様も多く、より深くなっています。
広瀬:私たちの所属する奈良県立大学には観光創造コモンズがあり、観光について学ぶ学生も多いです。そうした学生にメッセージをいただけますか?
職員さん:奈良県立大学さんは全国から学生が集まっていると思いますし、就職先も全国にわたると思います。ただ奈良で観光に携わるのであれば、まず奈良を歩いてください。その土地を訪ね、人に会ってください。奈良は観光に携わる方も多いですので、私は社内よりも社外の方、特に地域の方とお話する機会が多かったです。この観光案内業務は色々な人に出会えます。人と会うことで色々学べます。観光協会では奈良県立大学の学生さんのインターンシップも受け付けていました。
広瀬:そうでしたか。ありがとうございます。
職員さん:実は私、奈良県立大学の学生さんと参画連携で実際にツアーを考えることをしていました。 机の上で考える人が多いですが、ネット以外や肌で感じること、自分が行かないとわからない事は特に伝統行事では多いです。実際に見るとその行事に対して感じること、行事の表現が自分の言葉になります。そうした肌感、自分の五感で感じることを行ってほしいです。観光はやはり人と人で成り立つものです。その土地の人と触れることが重要でしょう。 今ではインターネットを使って画面で世界中どこにでも行くことができます。
広瀬:そうですね。
職員さん:なのにわざわざその地に来られる。その地を五感で感じたいからだと思います。実際に訪れることで、同じものでも感じることが変わってきます。それから、おもしろいと思う感情が大切ですね。 それからコロナ禍で観光客の方は減っています。ただ資料も非常に大まかな指数なので実際にはどういった目的で奈良に来られているかはわかりません。こうしたデータもあまり鵜吞みにしないでいただきたいと思います。
広瀬:貴重なお時間を頂き、お話頂きました。今日は本当にありがとうございました。
職員さん:ありがとうございました。